照心洗心録

安岡正篤、中村天風などから学んだことをまとめています。

32.力の結晶

「一人でも淋しくない人間になれ」

頭山満

 

人間の本質は霊魂であり、その霊魂は宇宙霊の一部です。

そして、宇宙霊はこの宇宙の万物を創造する源になります。

ならば、人間の本質は宇宙の万物を創造する力ということになります。

 

この世の万物は、人間の霊魂と同じで、細かい粒子でつくられています。

そして、その細かい粒子である気の動きをあらわすものが心です。

気にする、気づく、気を失う、気を遣うなど、気という漢字を使って、心の動きは表現されますよね。

心と気は密接な関係を持っています。

 

心が消極的だと、宇宙霊からエネルギーを受け取ることができなくなります。

宇宙霊からエネルギーをもらうには、心の状態を積極的にして、宇宙の積極的なエネルギーと同調することが必要です。

宇宙の働き、つまり造化は自然そのものなので嘘偽りがありません。

そして太陽が分け隔てなく誰でも照らすように、宇宙は差別することがありません。

そして自然の景色を見ればわかるように、宇宙の働きは調和がとれています。

宇宙霊と同じ真善美の心を持って、宇宙のエネルギーをより多く取り込みましょう。

 

朝になれば、暗かった空を太陽が昇っていき、空は青く染まっていきます。

そして夕方になって陽が傾くと、空は赤く染まります。

それは太陽の周りを規則正しく地球が廻っているからです。

春になれば、植物は新芽を伸ばし、色とりどりの花を咲かせます。

そして秋になれは、葉は赤く染まります。

毎年、間違うことなく季節は巡っていきます。

台風などの災害によって、枝葉が傷ついたとしても、植物はひとりでに回復していきます。

すべて当然のことですが、改めて考えてみると奇跡のように思えませんか。

 

人間は真理の中で生きれば、寿命が尽きるまで、幸福に人生を過ごすことができるはずです。

明けない夜がないように、必ず春がやってくるように、宇宙は間違えたりしません。

造化と共に生きれば、人間は生命を全うできるようにつくられているのです。

霊性心は人間の本然の心であり、造化と共にあります。

しかし、人間には霊性心を覆い隠してしまう本能心と理性心があります。

本能心は生きていくために必要で、理性心はその本能心を抑え、霊性心の発揮を助けてくれます。

どちらも重要な役割を持っていますが、使い方を間違えれば、ストレスを生む原因になってしまいます。

どんなに優れたものであっても使い方を間違えれば、役に立たないどころか、害を及ぼす可能性すらあります。

自動車だって操縦ミスをすれば、大事故を起こしてしまうかもしれません。

本能心や理性心も使い方を間違えれば、苦しみのもとになってしまいます。
生きることが苦しみに満ちているなら、それは心の使い方を間違っているのです。

 

人間の霊魂は、力の結晶であり、その背後には常に宇宙霊がいるので、いつだって人間は孤独ではありません。

逆境に立たされることがあっても、そのことが理解できていれば、寂しくはないはずです。

宇宙はいつだって万物を、嘘偽りなく、平等に、調和をもって育んでくれます。

万物の霊長である人間は、そのことを理解できる唯一の生物なのです。

 

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中村天風「力の結晶 中村天風真理瞑想録」