照心洗心録

安岡正篤、中村天風などから学んだことをまとめています。

2023-05-01から1ヶ月間の記事一覧

42.陽明学

「志が立たねば、天下に成るべきのことなし」 王陽明 儒教における聖人とはどのような人物をさすのでしょうか。 私は物事の根本に通じた、徳の高い偉大な人物を思い浮かべます。 明代の儒学者である王陽明は、あるとき弟子に「聖人と呼ばれる人の中にも、優…

41.自己陶冶(じことうや)

「千日の稽古をもって鍛となし、万日の稽古をもって錬となす」宮本武蔵 日本刀を作るには、強靭な鋼が必要です。 鋼を加熱し、槌で打つことによって、鋼を鍛える作業を鍛錬といいます。 槌で鋼を打つと、不純物が火花となって飛んでいくので、鋼の純度を上げ…

40.心の使い方

「事を成し遂げる秘訣は、ただ一つの事に集中することにある」 エイブラハム・リンカーン 心の中に雑念があると、自分の能力をフルに使って物事に取り組むことができません。頭の中の作業台であるワーキングメモリーを雑念で埋めてしまったら、作業の効率は…

39.心一つの置きどころ

「心の持ち方一つが結局人生の運命を決定するんだ」 中村天風 人間は生まれるときに、その材料を集めてきてつくられるわけではなく、もとからこの世界に存在するものでつくられます。 そう考えると、人間はエネルギーを再利用することで、生死を繰り返してい…

38.心身統一

「一度だけの人生だ。だから今この時だけを考えろ。過去は及ばず、未来は知れず。死んでからのことは宗教にまかせろ」 中村天風 顕在意識の積極化、神経の安定化、潜在意識の積極化の三つは、中村天風の心身統一法の三本柱を簡単に説明したものです。 正式名…

34.神経の安定化

「晴れて良し曇りても良し富士の山、元の姿は変らざりけり」 山岡鉄舟 少し物音がしただけでビクッとしたり、嫌なことがあるとすぐに落ち込んでしまうのは、神経が過敏になっている証拠です。 人生は山あり谷ありで、いいこともあれば悪いこともあります。 …

37.潜在意識の積極化

「筆を洗ったまっ黒なコップの水も、水道の蛇口のところに置いて、ポタリポタリと水を落とせば、一晩のうちにきれいになってしまう」中村天風 私たちが普段の生活の中で認識している顕在意識は、意識全体から考えると氷山の一角でしかありません。 顕在意識…

36.ヴィッパッサナー瞑想

「妄想とは、現実をありのままには認識しないで、自分の好みで、主観で認識することです。頭の中で概念だけが回転する状態です」 アルボムッレ・スマナサーラ この世界の万物は粒子でできていて、その粒子は波のように動き続けています。 だからこの世界は、…

35.安定打坐法

「実際の感情、情念を心の中に入れないで、純真な気持ちになるのが無念無想なんです」 中村天風 お坊さんが坐禅を組んで瞑想をするのは、無念無想である三昧の境地に達するためです。 瞑想は想いを瞑ると書くように、雑念を消すために行います。 本能心と理…

33.顕在意識の積極化

「今日一日、怒らず、恐れず、悲しまず、正直、親切、愉快に生きよ」 中村天風 この世界に存在する万物は、この宇宙の始まりのエネルギーからつくられていて、見た目の形は変わっても、エネルギー自体はまったく変わってません。 増えもしなければ減ることも…

32.力の結晶

「一人でも淋しくない人間になれ」 頭山満 人間の本質は霊魂であり、その霊魂は宇宙霊の一部です。 そして、宇宙霊はこの宇宙の万物を創造する源になります。 ならば、人間の本質は宇宙の万物を創造する力ということになります。 この世の万物は、人間の霊魂…

31. 病気を克服する

「病は忘れることによって治る」中村天風 もし、現代になって急増しているうつ病や神経症になってしまったら、どう克服すればいいでしょうか。 孫子の兵法に「相手と自分のことを知れば、百戦しても危険はない」とあるように、まずは病気について理解するこ…

30. 病と病気

「百病はみな気より生ず。病とは気病むなり、ゆえに養生の道は気を調ふるにあり」 貝原益軒 病気という文字は、病(やまい)と気という漢字を合わせてできています。 つまり、気を病むと書くことで病気になるのです。 体の不調を病、心の不調を病気として分…

29. 意識と記憶

「我々の忘却してしまったものこそ、ある存在をいちばん正しく我々に想起させるものである」 マルセル・プルースト 覚醒していることを意識があるといいますが、意識には自分で認識できる部分とできない部分があります。 そのうち自分で認識できる部分を顕在…

28. 人間の価値観

「古の人は、学びて以て徳を己に成さんことを求む」荻生徂徠 現代になって急増した精神の病気に、うつ病や、かつてはノイローゼといわれていた神経症があります。 最近は精神科や心療内科だけでなく、内科や循環器科などでも、頻繁に抗不安薬や睡眠薬が処方…

27. 立命と運命

「人間が浅はかで無力であると、いわゆる宿命になる。人間が本当に磨かれてくると運命になる。すなわち、自分で自分の命を創造することができるようになる」 安岡正篤 命は、疑問を挟む余地がないほど絶対的なものです。 だから、「なぜ人は生きているのか」…

26.便利さの代償

「真の科学は、継続的段階を経て秩序ある順に進むものである」 レオナルド・ダ・ヴィンチ 自然は自ずから然ると書くように、何も取り繕ったりしない、ありのままのものです。 すべてが真実であり、偽りがありません。 当たり前のことですが、自然は嘘をつい…